神奈川県内広域水道企業団とのオンラインミーティングがあり、今後、大学との連携等を考えていきたいとおっしゃっていました。今回は、企業団について教えていただくと共に、水道とSDGsの関係等についてお話を頂きました。
神奈川県内広域水道企業団と大学の連携について
今までの概念にとらわれず、課題を大学との連携の中で解決しておきたいとおっしゃっていました。
具体的には、企業団からは、大学の研究で企業団のフィールド、経験、実務の有効活用。
大学からは、大学独自の民間企業とは異なる視点や大学からの人材などといったように、
win-winな関係を築いていくことが出来ないかということでした。
神奈川県内広域企業団とは
水道用水供給事業(水道水を作り水道局に卸売)をしている団体で、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市が構成団体となっています。
企業団では、ダムや浄水場、取水堰といった施設を運用しており、2,844,900㎥/日の施設能力を持ちます。
構成団体の給水量の50%が企業団供給水量で、職員数は361名。
電気や機械、土木、水質等技術的な面だけでなく、法律や経済、経営などの事務的なもののように、幅広い知識や経験の集合体となっていて、やりがいと責任が大きい仕事とおっしゃっていました。
水道におけるSDGs
目標6「安全な水とトイレを世界中に」が直接関係しています。
安全な水とは、水道のパイプで管理されている水のことで、世界の1/3は安全な水を使用できておらず、世界の6割の人は安全に管理されたトイレを使えない。というのが世界の現状となっています。
途上国などでは汚染された水を飲み水として利用するしかありません。水が原因で感染症など、健康に大きな影響を与えているため目標6だけでなく他の目標とも深い関りがあります。
また、水を汲むという事が重要な日課であり、汚い水でも飲まなければならないという状況にあり、女性や子供が行っている水汲みは、命をつなぐ重要な仕事になっています。そのため教育などを十分に受けることが出来ず貧困などにも繋がっているそうです。
水道水がそのまま飲める国は12か国といわれえている、日本はそのうちの一国です。
神奈川県内広域企業団では
年間使用電力量は、1億6781万Kwh
電気料金は32億1477万円
ポンプ場での電力消費が約6割を占める
広域水道なので大型ポンプが多いことが原因
目標として改定第2次実行計画(H25~R2)では
- 温室効果ガスの総排出量を6%削減
- 取水量1立方メートル当たりの温室効果ガスの排出量を1%削減
としていて、H25~H30までは全年度で、①は達成ならず、②は達成に成功
具体的な取り組みとして、小水力発電設備や太陽光発電設備、他にも街灯用として、太陽光発電設備と併用の風力発電設備などを設置しているそうです。
神奈川県内広域水道企業団のSDGs
安全で良質な水を安定的に送り続けることで、安全な水へのアクセスに関する目標6の達成の継続に直接的に貢献
「最適な水道システムの実現に向けた施設整備と運用・管理」の取り組みを通じ、気候変動緩和や自然環境保護に関する目標7,12,13,15の達成に貢献
「自然災害や多様なリスクへの対応強化」の取り組みを通じ、強靭な街づくりに関する目標9,11,17の達成に貢献「経営基盤の強化」の取り組みを通じ、働きがいや持続可能な成長に関する目標8の達成に貢献
また、その他目標についても、取り組みにおける具体的な手法、解決策の検討の際の視点として意識していく。
感想
今回お話を聞いて、これまで全く知らなかったことを知ることが出来ました。私たちが住んでいる日本は、世界的に見ても水道が安全で清潔であるということは知っていましたが、それがどれだけ恵まれたことであるのかをしっかりと認識することが出来ました。
また、途上国等に対しただ単に高い技術や優れた設備を与えても、問題の解決になりません。そのためには、根本的な考え方、意識の改革や、その地域や伝統に合わせた対処が必要なことがわかりました。やはり、水道という観点から見てもSDGsは困難ではあるが、協力し達成すべき目標であると改めて思いました。
最後になりますが、神奈川県内広域水道企業団様の実体験などを交えた分かり易く貴重なお話をしていただきありがとうございました。